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 読み物>衿ふき

  シミの中でどうしても付いてしまうのが、衿に付くファンデーションのシミです。
このファンデーションのシミは「衿ふき」と呼ばれるしみ抜き方法で簡単に落ち、
しみ抜きの中でも比較的簡単な方法です。
ご家庭でも訓練すれば簡単に衿ふきが出来るようになりますので、チャレンジしてみてはいかがでしょうか?!

 ※ただし、喪服には出来ません!!
 →濃染加工が施されている喪服に衿ふきをすると、その濃染加工が破壊されて色が変わってしまいます。
  喪服の衿ふきは当店のような呉服のシミ抜き専門店に依頼した方が賢明です。

用意するもの
ベンジン250cc (たくさんあった方がいいです)薬局で買う事が出来ます。
乾いたタオル3〜4枚


手順
テーブルの上に着物の衿を縦にした状態で置きます。
きものが留袖で比翼が付いている場合は、比翼を内側に折り返して衿と重ならないようにします。
きれいなタオルを縦に二つ折りにして、衿の下に敷きます。
もう1枚、乾いたきれいなタオルを用意して、これにベンジンをたっぷりと染み込ませます。
タオルは、きちんと折り畳んだ状態にして下さい。

※必ず完全に乾いたタオルを使用してください!
少しでも水分があると生地がスレて傷んでしまいます
左手で衿の半分から上の部分を押さえ、衿の下の衽の部分を自分のお腹とテーブルの間に挟み、左手で衿を少し引っ張る感じで衿が動かないように固定します。
一度に衿全体を拭くのではなく、半分づつ拭いていきます。
ベンジンを染み込ませたタオルで、ファンデーションが付いている部分を拭い取る感じで丁寧に拭きます。
上下に10回ほど拭けば大抵は綺麗に取れます。
この時、あまり力を入れ過ぎず、衿と平行(上下)に拭くようにして下さい。
ファンデーションが綺麗に取れたら、別のタオルにベンジンを染み込ませて、衿のベンジンで拭いた部分と乾いている部分の境界をぼかすように拭きます。
これは、ベンジンで濡れた部分の境界にキワが付いてしまうのを防ぐためです。
上手くいかない場合は、掛衿の半分全体をベンジンで濡らす感覚で拭くとキワはつきにくいです。
衿を乾かします。
左手で衿の中央部分、右手で衿先を持ち、右手を左右に振るようにすると効率よく乾かせます。
ベンジンは速乾性なので、無理をせずに自然乾燥でも構いません。

※ベンジンは引火性がありますので、ドライヤーでは乾かさないで下さい!
今度は、衿のもう片方です。 衿の上下を逆にして置きます。
この後は、手順を繰り返して終了です。
最後に、衿と衿裏にキワが残っていないか確認します。
もしキワが残っているようでしたら、ベンジンを染み込ませたタオルでキワの部分をぼかすように拭きます。
あまりベチャベチャに濡らすと、その部分が更にキワになってしまいますので注意して下さい。

< 注意事項 >
■衿ふきをする前に、目立たない部分で試験的にベンジンで拭いてみて、タオルや衿裏に色が移ったり柄などに影響がないことを確認してから作業することを心がけて下さい。(異常が認められる場合は中止して下さい)
特に、大島や紬といった先染め品は、衿の染料が落ちて衿裏を汚してしまうケースがよくありますので、必ず目立たない部分で試験をしてから衿ふきをして下さい。
■ファンデーション以外のシミ、黄ばみ、変色などは衿ふきでは直りませんので、専門店に依頼して下さい。
■喪服の衿ふきは、上記の方法と異なりますので行わないで下さい。
■金粉や胡粉を使った柄が衿にある場合は、その部分を避けて衿ふきをして下さい。 柄が剥げてしまう恐れがあります。
!  ここで紹介しているシミ抜き方法をご自分でなさる場合は自己責任でお願いします。
 万が一、着物の故障や事故等が発生しましても、当店は一切の責任を負いかねます
 よくご理解の上、お試しください。